はばないすでい

トイプードル ノアとアルの日常 ときどきファッションとかいろいろ

デザイナーが思う、服を購入するときの5つのポイントと知っておいて損のない話

皆さんはファッションが好きですか?

 

洋服を買うときにはどんな選び方をしていますか?

値段?

機能性?

トレンド?

服選びというのはなかなか難しいもので、

ファッション雑誌とにらめっこしたり、インスタなど SNS から情報を得たり

または、好みのブランドやお店があってそこの服しか買わない、着ないとか

おしゃれな人は、何かしらの情報やアドバイスから自分で選んで購入していると思います。

または流行とかには興味はないけど、クオリティや機能性にはこだわりを持ってる人もいることでしょう。

人それぞれ入り口は違っても、気に入って買ったつもりが、1~2ど袖を通しただけでタンスの肥やしになってる服、

ワンシーズンで全く着なくなった服など「失敗したなぁ~」って経験は誰もがあるものです。

 

経済状況、住んでる場所や仕事によっても人それぞれ好み、価値観は違ってきますが

衣食住の衣、少なからずも多少の興味はあるかと思います。

今日はそんな多少の興味がある人向けに、僕が思う服選びのポイントをまとめてみました。

また、全く興味がない人でも知っておいて損のない内容も書いてますので、参考になれば幸いです。

 

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服を購入するときの5つのポイント

 

1. 自分の体型や雰囲気を知る

 

まずは、自分の雰囲気や体型を受け入れ、知ることから始めましょう。

 

ファストブランドからスーパーブランドまで私たちが普段買っているのは既製服です。

ブランドによってのターゲットがあり年齢やイメージはもちろんありますが、どのブランドでも既製服である以上全てをカバーはできません。

(この場合のカバーは着れる着れないでなく、似合う、似合わないですよ 笑)

そのブランドが推すコーディネートは全ての人に合うものではないのはわかりますよね。

マネキン買いやファツション誌のコーディネートそのままを購入するのはとても危険な行為と言えます 笑

 

誰もが、自身の短所?コンプレックスを隠したくなりますが、ファッションはそれを隠すものではなく、長所をより良く見せるためのもので、時には短所を個性に変えてくれるものでもあります。

必ず自分に合う服は存在しますので、まずは自身の雰囲気作り、似合う服を知ることです。

もしわからない場合は、あなたが思うセンスの良い友達に聞く、アドバイスしてもらうのも良いと思います。

餅は餅屋、ショップのFAさん(店員、ファッションアドバイザー)に聞くのも悪くはないですが、

FAは絶対に似合いませんとは言いませんので 笑

悪い言い方をしますと、ペロッと舌を出してる時もあるかもしれませんね  

 

2. コーディネートでイメージする

 

自身の雰囲気がわかれば、自ずと服のイメージも湧くと思います。

じゃあ、何を買えば良いかという話なんですが、選ぶ際には、必ずコーディネートを意識しましょう。

単体でその服がよく見えても、お気に入りのよく着る服や手持ちのタンス在庫に全く合わない、結局、着る機会を失ったり、余計なアイテムを買い足すこととなります。

我々作る側は足し算のものづくりをしてしまいがちです。

どういうことかというと、服は単品で販売するために、アイキャッチになる付加価値というものを、どうしても付けたくなるのが作る側売る側の習性なのです。

そうして出来上がった、単品力の強いアイテムは、残念なことにコーディネートではあまり活躍してくれません。

イメージしてみてください。

男性の履いているデニムなんかで妙な刺繍とかペイントなど施されてるものがありますよね。

あれ、どこで買うの?誰が買うの?って思ったことがある人も多いと思います。

しかし、ああいったアイテムは実際売れるのです…ほんと 困ったことに

色に関してもそうです。

作る側はそのシーズンの差し色を取り入れます。

店頭で目立たせるためやトレンドを意識した色を差すわけですが、

手持ちの服と合わせるならできるだけベーシックカラーを選ぶのが無難です。

しかし、一概に差し色が悪いとは言えません。

色によっては、コーディネートの幅を広げてくれたり、センス良く演出してくれる場合もあります。

インパクトの強い色を選ぶ場合は、余裕のあるアイテムで長いスパンの差し色で考えましょう。

気に入ってしょっちゅう着ている服がインパクトの強い色を選んでしまうと、

他人からは「あの人いつも同じ服着てるよね」と思われてしまいますよ。

どうしても差し色で欲しい場合はプライスの低いものを選ぶのも選択肢の一つだと思います。

 

3. サイズ感はすごく大切です。必ず試着しましょう

 

自身のイメージにも合う、コーディネートにも合いそうな服が見つかりました。

その服は必ず試着しましょう。

試着して「なんか、違う?」は必ずあります。

試着して自分に似合うのかもう一度確かめるようにしましょう。

そしてサイズ感はすごく大切です。

自分の雰囲気に合うサイズなのか、少しでも疑いを感じるのなら時間をかけて冷静に考えてください。

人気のアイテムなどそのサイズしか残っていない場合や取り寄せもできない場合がよくありますが、FAさんの「お似合いですよ、サイズも大丈夫です」には流されないようにしてくださいね  笑

買って後悔するより買わずに後悔する方が嫌だという人の方が多いのですが、

買って本当に良かったという経験から思うことで、買わずに後悔には必ずお金が残りますからね。

 

4. 買ってもよい、着て良い服とは

 

一般的に前の日の夜か朝にその日着るコーディネートを選ぶと思いますが、いざ仕事や出先で、なんとなく服のイメージが合わなくて、1日中テンションが低いことってありませんか?

僕の思う良い服の絶対条件は『着ていて気持ち良くなる服、気持ちを上げてくれる服』です。

上述した内容は主に失敗しないための服の選び方ですが、

ファッションとは着ていて気持ちが良くないと成立しないと僕は考えます。

それがデザインなのか?

クオリティなのか?

機能なのか?

ブランドなのか?

気分を上げてくれる理由はなんだって構いません、ワクワクすることを第一に選んでくださいね。

 

 

5. 本当に必要なのか、もう一度考えてください

 

服を買うことは楽しいことです。

誰もが服を買うときは多少なりとも高揚しています。

最後にもう一度、その服が本当に必要な服なのか冷静に考えてください。

余計なものを買わないが、上手な買い物のコツです。

ジャンルは同じでも、違う着こなしができるアイテムを選ぶようにする。

できるだけシーズンのワードローブはコンパクトにまとめて幅広い着こなしのできる人が

おしゃれな人だと僕は思っています。

例えば、4~5年は着れる高額な10万円のアウターを2着気に入りました。

2着とも買っても大丈夫ですし、活躍もしてくれそうです。

1着シーズン5回着て5年なら1回4000円×2ですよね。

普通なら買いのアイテムでも、それを1着我慢してシーズン10回着れる着こなしを考え、2年で買い替えた方が僕は良いと思います。

節約というのではなく、上手なコスパの考え方をする方が良いのではないのでしょうか。

 

ちなみに僕の場合は、偉そうなことを書いていて矛盾していますが、

仕事柄、普通の人より洋服の数はかなり多いと思います。

上述した内容に合わない流行りものや特殊な服も多数所有していますが、

サラリーマンの人のスーツ感覚や商売道具といったところでしょうか。

 

しかし僕が購入する服の基本はあくまでも

『クオリティの高いオックスの白シャツ』『リジットデニム』『綿パン』『クオリティの高いハイゲージニット』

など定番品を、古くなるか微妙なシルエット サイズ感の変化で買い替えることです。

メーカーのものづくりは定番品であっても、微妙にシルエットやサイズ感はアップデートされるのも知っておいてください。

同様に自分の感覚もアップデートしますので、定番の買い替えは何年かのサイクルで必要になるということです。

 

 

知っていて損のない話

 

まずここからの記事に出てくる用語を簡単に説明しますね。

上代

一般に販売されるプライス。メーカー小売希望価格のことです。

メーカーが定めた定価なので、マークダウンしない限りは変動することのない価格。

 『原価』

商品を生産するまでにかかったもとの金額を言いますが、

どこまでの範囲が原価に含まれるのかは、アパレルによってまちまちです。

例えば、展示会サンプル費用などを原価にインクルードするメーカーもあれば、別計算のところもあります。

『原価率』

上代に対する原価のパーセンテージのことです。販売価格1000円の商品の原価が250円なら原価率25%ということです。

 

皆さん、服の値段ってどう思いますか?

 

高い? 安い? 適正?

 

店頭を見るとTシャツ1枚が1000円で買えるところもあれば、30000円するところもあります。

自分のライフスタイルと経済状況で感じ方もそれぞれ違ってくるとは思いますが…

 

僕は立場を無視して敢えて言うと、非常に高いと思ってます。

50インチTVが10万を切り、最新のiPhoneが9~11万で買え、ラーメン1杯が600円の時代。  ラーメンの600円も高いか?笑

 

服を選ぶ際に上述した内容以外に大きなポイントとなるプライス

ここからは服の価格の仕組み?からくり?をお伝えしますね。

 

上代ってどうやって決められているか知ってますか?

 

普通、飲食など生活必需品の原価率が大体30%程度、

1000円の料理なら原価が300円という話は耳にしたことがあるかもしれません。

これが、原価率10%なら3000円の料理となり、誰も食べませんよね 笑

これは、私たち消費者が相場を知ってるからで、原価率30%で大体の相場の価格になるようになっているからです。

 

服の業界でも企業の体質により多少の値段設定は違ってきますが、

アパレルメーカーごとに原価率は意識します。百貨店アパレルで大体25%~30%SPA型やロードサイドなどなら30%~35%などといったところでしょうか。

しかし、経済不況が続く中、売り上げを上げるより利益を確保する体質に変化し、原価率をいかに抑えるかが課題となり百貨店アパレルで20%~25%、SPA型なら25%~30%を目標にものづくりするのが現状かと思います。

ここまでで、基本アパレルは原価率が少し低い(上代が少し高い)必需品の考え方で上代を決めているということがわかっていただけましたね。

 

じゃあなぜ先でも述べたように1000円のTシャツもあれば30000円のTシャツもあるの?

やっぱり上代が高い商品(30000円)のTシャツはそれだけの価値があるんだよね?

やっぱり上代の安い商品(1000円)はそれなりなんだよね?

ってなりますよね?

ここに、服作りのからくりが存在します。

 

必需品と嗜好品

 

もちろん、1000円のTシャツと30000円のTシャツでは使ってる素材の値段、品質は違いますが、

一般の消費者レベルではっきりとわかるような、そこまでの差はありません。

余談ですが、企画会議の参考資料としていろいろなブランドの製品をサンプルとして検討しますが、

僕らデザイナーや生産メーカーの用意した製品(ブランドのタグやネームは外してる状態)を見てプライスとクオリティが

ドンピシャで当たる?わかる?人など皆無に近く、この業界に長年携わっていてる人たちでもそんなものです。

正月にやってる番組『芸能人の格付け』みたいなのでよく見るあんな状態ですね 笑

 

上代7900円のカシミアのニットにハイブランドのネームをつけて「これの上代10万円ですよ」と言って疑う人が果たして何人いるのか?

逆に「さすが〇〇〇〇良い風合いですね〜」って聞こえてきそうです 笑

 

もちろん安い商品に粗悪なそれなりの品質のものは多数存在しており、決して「安かれよ良かれ」ってはなしではありませんよ。

 

服の上代は、アパレルメーカーが決めているのです。

もちろん基本となる原価率はどこにでもあるわけですが、30000円のTシャツとは必需品の枠を超えた嗜好品なのです。

そのブランドやデザイナーの持つカリスマ性や看板代としてのプライス、

このブランドの服を着ているという優越感に払う対価ですね。

 

これだけなら「なんや、詐欺みたいな話やなぁ」って思うかもしれませんが、

誰も知らない無名のブランドが30000円のTシャツを作っても買いませんよね。

この仕組みは決して悪いことではなく、そのブランドがそこまでの位置に登れた企業努力と戦略が素晴らしいことだと言えます。

まさに服選びの『着ていて気持ち良くなる服、気持ちを上げてくれる服』と言えるでしょう。

 

メーカーサイドにはうれしいいことですが、あまり度が過ぎると、信者さんと呼ばれ

自分が崇拝するブランドの服はすべて品質が良く、素晴らしい着心地、これ以上のものは存在しないと錯覚してしまいます。 

宗教のような感覚なんでしょうね? まさにお布施を払ってる状態です 笑

インスタなど見ているとネタでなく、真剣に思っている人が多数いるのでたまに怖くなりますね 笑

 

せっかくファッションを楽しむのですから色々な服に袖を通して試してみましょう。

まだ知らないブランドにも素晴らしい服はたくさんあります!ワンブランドコーデは恥ずかしいですよ!

 

生産数量と原価

 

また、生産数、メーカー・ブランドの規模によって上代が大きく変わります。

実際に僕が企画デザインしたもので百貨店アパレルとロードサイドとセレクトショップに同じ素材・同じデザイン・同レベルの付属のアウターを現物まで生産した数量です。

百貨店アパレル 原価率25% 500着 上代39000

ロードサイド 原価率33% 5000着 上代19000

セレクトショップ原価率30% 400着 上代28000

このアイテムだけでの生産数量にも差がありますが、同時に出している仕事もありグロスではもっと生産数量に差があります。

 これで分かるように、生産数が多い方が当然原価は下がります。

一度試しに、誰もが知っている某ファストブランドのダウンと同じものを百貨店ブランド向けに見積ってもらったところ

数量500着で39000円上代となりました。

上代で5倍強、原価で5500円程の差が出ます。

これは、ファストブランドの何万枚という発注数量があって成し得る仕組みで、原料から生産背景まで押さえ、閑散期などにも稼働させるような、原価を下げるための勝ち組の企業努力と戦略です。

もしこのダウンを百貨店アパレルが生産していれば、ブランドが変わり、売り場が変わるだけで同じダウンが39000円と6000円で店頭に並ぶわけです。

 

我々、日本人は価格の高いもの=良いものと、思い込みがちですが、

服のプライスは服の価値を測るある程度の物差しはになりますが、それが全てではありません。

このことを頭の隅に置いていただくと、また違った服に対する価値観が生まれてくるのではないでしょうか。

 

最後に 

 

いかがでしたか?

デザイナーの立場で厚かましく服選びのポイントをアドバイスさせていただきましたが、

ファッション、洋服は千差万別の価値観があり、自分らしさ、個性を表現するのに

一番わかりやすいモノ・手段だと思います。

あなたのライフスタイルにあった服選びに少しでも役立つ情報になれたなら嬉しいです。

 

これからも犬ネタに、ちょいちょいはさんでいきますので、今後ともよろしくです。

 

ご愛読ありがとうございます。 トモでした。